レディング石、トリフィル石、メッセル石、ロックブリッジ石 Reddingite, Triphylite, Messelite, Rockbridgeite 茨城県かすみがうら市雪入 Yukiiri, Kasugaura City, Ibaraki Pref., Kanto Region Japan

2014年出品

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レディング石 → http://www.mindat.org/min-3378.html

トリフィル石 → http://www.mindat.org/min-4020.html

メッセル石  → http://www.mindat.org/min-2658.html

ロックブリッジ石 → http://www.mindat.org/min-3433.html

 1975年代ごろ茨城県雪入で発見された「燐ペグマタイト」は、当時の鉱物趣味界の話題をさらった。燐酸塩鉱物を多く含む花崗岩ペグマタイトであるが、日本ではじめての例であり、かつ現在に至るも国内ではほかに発見はない。さらに雪入でも採石場のごく一部からきわめて短期間に産出を見たのみであり、その後ずっと「雪入の燐酸塩鉱物」は「幻の鉱物」とされてきている。今回の出品はその一部である。新産鉱物のほか藍鉄鉱や燐灰石、燐灰ウラン石なども産した。

 雪入の発見が一世を風靡したのは、ひとえに十数種類を数える日本新産鉱物が記載されたことによるだろう。また、当時の鉱物界の中心にいた故・櫻井欽一博士や故・草下英明氏が「雪入の燐酸塩鉱物の発見」について盛んに語っていたことも大きいと思われる。

 とはいえ、雪入からは新鉱物の記載はない。ドイツなどですでに燐ペグマタイトが知られていたことという事情もある。ここに挙げた標本でも、レディング石の原産地はコネティカット州の燐ペグマタイトであり、トリフィル石の原産地はドイツの燐ペグマタイトである(メッセル石はドイツの瀝青質粘土中、ロックブリッジ石はヴァージニア州の褐鉄鉱鉱床)。

 近年、メッセル石の良品が熱水変質を受けたチャート中から発見されるなど、雪入で産したような燐酸塩鉱物が国内でもほかの産状から見出されているが、古手の鉱物趣味人にとって「雪入の燐ペグマタイトの鉱物」が特別の感慨を有するものであることは変わりがないだろう。

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