ロングバン石 L〓ngbanite 福島県いわき市田人町黒田 支那志 御斎所鉱山

2014年出品

Gozaisho mine, Shinashi, Kuroda, Tabito-machi, Iwaki City, Fukushima Pref., Tohoku Region, Japan

標本左右約10cm

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稀産鉱物の産出で知られる国内のユニークな産地が、海外のやはりユニークな鉱物産地名と対比されて語られることはままあり、御斎所鉱山については、スウェーデンのロングバン鉱山の名がときおり聞かれる。

※ロングバン鉱山→http://www.mindat.org/loc-3167.html

その由来になっているのが、数々の稀産砒酸塩鉱物と、このロングバン石だろう。世界的銘柄産地の名を冠していることに加え、アンチモンを含む珪酸塩鉱物という特異な組成と「ほかの鉱物ではあまり見たことのない」独特の質感が、コレクターたちにレア感を喚起させる。1887年という古い記載であり(IMA承認は1971年)、鉱物学的な検討にはまだ余地があるとも言われる。

御斎所鉱山のロングバン石は、1986年日本鉱物学会年会にて報告された(松原聰・加藤昭・橋本悦雄・関内幸介『福島県御斎所鉱山産Långbanite』日本鉱物学会講演要旨集)。御斎所鉱山の数ある産出鉱物のなかでも稀なほうであるが、いわき市石炭・化石館「ほるる」2階の常設展示で、バラ輝石などからなる鉱石中に黒色六角柱状の結晶をなす現物を見ることができる。

 本標本は、大型のやや湾曲した六角板状の結晶を多数含むものである。アーセニオプレイ石など砒酸塩鉱物を伴うなど、従来から知られてきた六角柱状のものとはいささか趣を異にするが、一方向に完全な劈開や、やや透明感のある独特の質感等で本鉱と判断されている。

 なお、鉱床のありようや産出鉱物などをあらためて比較してみると、御斎所鉱山とロングバン鉱山はむしろ差異のほうが大きく、さほど似ているというわけではない。

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