灰チタン石、バグダッド石 Perovskite, Baghdadite 岡山県高梁市備中町布賀
2006年出品
新種を含む数々の稀産鉱物が続々と発見され、世界的にも注目される鉱物産地・布賀(ふか)。見事な灰チタン石の結晶と、バグダット石は、近年になって発見された布賀の稀産鉱物である。灰チタン石は英名でペロブスカイトといい、化学や素材工学の分野の人であれば「ペロブスカイト型結晶」という言葉とともに記憶されているかもしれない。この標本のように大きくはっきりした結晶は稀で、とくに日本ではこの布賀でしか産出しておらず、また採集された個体数も限られている。画像ではあたかも磁鉄鉱のように見える八面体の結晶が灰チタン石である。
一方のバグダッド石は、紫外線で強いクリームイエローの蛍光を発することと、ジルコニウムを含むユニークな組成で鉱物コレクターには魅力的な鉱物種として知られる。1986年、イラクで発見されたことからこの名があり、布賀では灰チタン石とよく伴われ、灰色のゲーレン石と共生をする。画像では薄くピンクがかったベージュ色の部分がそれである。
バグダッド石は、結晶構造上の分類ではクスピディンと近縁の鉱物とされ、組成的にはクサビ石のチタンの一部をジルコニウムに置き換えたものに近い。理想化学式にはチタンとジルコニウムの両者が含まれ、灰チタン石とバグダット石の共存は、たとえば糸魚川地域のヒスイから発見された蓮華石、松原石の存在ともあわせ、チタンとジルコニウムの地球化学的な挙動について想像をさせる産状といえよう。
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