赤鉄鉱 Hematite 静岡県静岡市葵区横沢大嶽鉱山

2008年出品

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標本の左右約12cm

「幻の産地」の赤鉄鉱。松原聰著『鉱物カラー図鑑』(ナツメ社 1999)に標本写真の掲載があるものの、それ以外では文献にも、著名なコレクションのリストにもほとんど登場しない。戦中、故・櫻井欽一博士が東大でこの鉱山の鉱石を見たという話は伝わっているが、現在に至るまでコレクター間の話題にのぼることは絶えてなかった。まさに「幻」と言ってよいだろう。

鉱山は変質した玄武岩中の赤鉄鉱鉱床とされ、第二次世界大戦末期には「日本屈指の鉄山」とされたといわれるが、詳細は不明である。

おそらく最高品位の鉱石。ほとんど赤鉄鉱のみからなる緻密な塊で、持つとずしりと重い。なるほど「赤」鉄鉱という色艶もあいまって、「これぞ鉄鉱石」という風格が感じられる。国産に限って言えば、あるいは鏡鉄鉱よりも得がたい品かもしれない。

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